-----真理さんへ-----
●美味しいものに目がない二人
馬場 温子
旧姓・仙石さんの結婚式で
  
 二月五日の朝、いつものように食事の支度をしていると、新聞を読んでいた主人が
「堀さん、大変やぞ!」と言って、スキー場での記事を見せてくれました。すぐ堀さ
んの家に電話をしましたが、お家の方は現場に行ってみえるようで誰もみえなくて、
とりあえず「今度の土曜日に病院連れていってね」ということで出勤しました。会社
に行って、一時間もたたないうちに亡くなったという知らせがあり、ただただ驚くだ
けでした。今でもその時の光景ははっきりと覚えています。
 堀さんが入社し、私と同じ部署に配属されたのが、彼女との最初の出会いでした。
その当時、人数の少ない部署で、女性は堀さんと私の二人だけで、仕事をはじめ休憩
時間やアフターファイブでも一緒に行動していたように思います。その後、私は三年
間名古屋に異動になりましたが、本社に戻ってきた時も同じ部署(機器販推進部)で、
ずっと変わらずお付き合いは続いておりました。
 特に二人とも美味しいものには目がなく、新しいお店が出来たり、人からお店を教
えてもらったりすると、場所や値段に関係なく惜しまず食べに行くことを計画してい
ました。しかし、そんな中で以前から約束していたお店に行けなかったことが心残り
になっています。そういえば、事故の前日にも会社の人達数人と食事に行き、いっぱ
い食べて、遅くまでお喋りしたのが、彼女との最後の食事であり、最後に会ったこと
になってしまいました。
 何度か食事をする中の会話では、私の一方的な話がほとんどでいつも聞き役になっ
てくれていたように思います。彼女は、旅行や最近始めたスキューバーダイビングな
どの話以外に、ご両親やご兄妹のことが多かったように思います。特にお母さんが入
院された時も、毎日病院へ様子を見に行くなど大変心配していました。
 堀さんが亡くなって数年経ちましたが、ときどきふと思い出すのは、私たちの結婚
式に出席してくれた時に投げかけてくれた笑顔が今でも忘れられません。
(株)セイノー情報サービス